
【調査結果】管理職の約7割が「キャリアパスの不明瞭さ」を問題視
ビジネスコーチグループ B-Connect株式会社(東京都港区、代表取締役社長:杉本 博史)は、部下のキャリア自律を促す目的で1on1ミーティング等を実施している企業(従業員数1,000名以上)の部長・課長100名を対象に、1on1ミーティングによるキャリア自律支援とジョブディスクリプションの活用におけるキャリアの明確化に関する実態調査を実施しました。
【本調査のハイライト】
01|1on1ミーティングについて、68.0%が「部下のキャリア自律を促すという目的に対して機能している」と回答する一方、28.0%は機能不足を指摘
02|約7割が、「会社で実現できるキャリアの不明瞭さ」を課題として認識
03|ジョブディスクリプションを明確化するツールを導入企業の、76.7%が「キャリア支援につながる1on1等の育成施策」の効果向上を実感
※調査資料のダウンロードは、本記事下部から可能です。
INDEX

調査概要
- 調査名称:1on1ミーティングによるキャリア自律支援とジョブディスクリプションの活用におけるキャリアの明確化に関する実態調査
- 調査方法:インターネット調査
- 調査期間:2025年5月27日〜同年5月28日
- 有効回答:部下のキャリア自律を促す目的で1on1ミーティング等を実施している企業(従業員数1,000名以上)の部長・課長100名
※合計を100%とするため、一部の数値について端数の処理を行っております。そのため、実際の計算値とは若干の差異が生じる場合がございます。
≪利用条件≫ 1 情報の出典元として「ビジネスコーチグループ B-Connect株式会社」の名前を明記してください。 2 ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。 URL:https://coachingtimes.jp/ |
約7割が、1on1ミーティングを「部下のキャリア自律促進に効果的」と評価

「あなたの会社で実施しているキャリア支援につながる1on1等は、部下のキャリア自律を促すという目的に対して、十分に機能していると感じますか」と質問したところ、7割弱の企業において1on1ミーティングが部下のキャリア自律につながると感じている一方で、3割近くが機能していないと感じると回答しました。
機能しない理由としては、「過去の対話内容や進捗が共有されておらず、継続性がない」が39.3%、「雑談の延長のような対話に終始してしまう」が32.1%、「毎回のテーマに一貫性がなく、話が断片的になる」という回答が上位で挙がってきており、1on1ミーティングを行う際に軸となるものがないことがわかりました。

ゴール・目標が不明確なことによる影響
「過去の対話内容や進捗が共有されておらず、継続性がない」「雑談の延長のような対話に終始してしまう」 という結果は、まさにゴールや目的が曖昧なために、本質的な議論に至らず、漫然とした会話に終わってしまっている状況を示唆しています。何を話すべきか、何を目指すべきかが見えていないと、有意義な対話にはなりにくいでしょう。
さらに、「毎回のテーマに一貫性がなく、話が断片的になる」「部下の目標や課題が曖昧で、対話が深まらない」 という回答も、ゴール設定の不明確さが、部下の具体的な課題や成長目標に踏み込んだ対話を妨げていることを裏付けています。
これらの要因を総合すると、1on1ミーティングが単なる時間消費に終わらず、部下の成長やキャリア自律支援に繋がるためには、上司と部下が共通のゴールや目標を明確に設定し、それを意識しながら対話を進めることが極めて重要であると言えるでしょう。
そして、キャリア自律を促すための1on1における目標やゴールとは、会社で実現できるキャリアとそのギャップを明確化することに他なりません。
8割超が、会社で実現できるキャリアが明確になれば「1on1ミーティングの効果向上」に期待できると回答

「会社で実現できるキャリアが明確になれば、キャリア支援につながる1on1等はより有効になると思いますか。」と質問したところ、「非常にそう思う」が5.3%、「ややそう思う」が78.9%という回答を得ました。
このように、社内でのキャリアパスの明確化がキャリア支援につながる1on1等の効果向上に重要な役割を果たすことが期待される中、職務それぞれの目指すべき姿を定義したジョブディスクリプションのようなものが重要になってきます。
ジョブディスクリプションがキャリアに関するゴール設定に有効な理由
ジョブディスクリプションは、個々の職務における役割、責任、必要なスキル、期待される成果などを明確に言語化したものです。これが明確であると、1on1ミーティングのゴール設定において、以下のようなメリットをもたらすと考えられます。
ジョブディスクリプションがキャリアに関する1on1のゴール設定に有効な理由
明確な期待値の共有:
上司と部下が、職務ごとの役割において何を期待されているのかを具体的に理解できます。これにより、1on1ミーティングで話すべきテーマが「期待される成果への到達状況」や「そのために必要な能力開発」といった具体的な内容に絞り込まれやすくなります。
キャリアパスの可視化と連動:
ジョブディスクリプションは、現在の役割だけでなく、将来的に目指せる上位職や関連職種の役割を理解する上でも役立ちます。これにより、部下は「将来どの役割を目指すのか、そのために現在の職務で何を習得すべきか」という具体的なキャリアゴールを設定しやすくなり、1on1ミーティングはその目標達成に向けた進捗確認や課題解決の場となります。
目指すキャリアに対する成長領域の特定:
現状のスキルとジョブディスクリプションで求められるスキルとのギャップを明確にすることで、部下の具体的な成長領域を特定しやすくなります。このギャップを埋めるための具体的な行動計画を1on1ミーティングで話し合い、目標として設定することが可能です。
対話の一貫性と継続性の担保:
ジョブディスクリプションという共通の参照点があることで、毎回の1on1ミーティングのテーマに一貫性が生まれ、過去の対話内容もその職務における成長という文脈で捉えやすくなります。これにより、「雑談に終始する」「話が断片的になる」といった課題の解消にも繋がります。
しかし、個々の職務における役割、責任、必要なスキル、期待される成果などを明確にするジョブディスクリプションの管理運営には、膨大な工数と費用がかかるにも関わらず、それが機能しないという問題もまた存在しています。
71.0%がジョブディスクリプション導入済、そのうちの約半分は「機能していない」実態

ジョブディスクリプションに関して、「導入していて、機能している」と回答した企業が41.0%であったのに対し、「導入しているが、実質的に機能していない」と回答した企業は30.0%でした。企業の約7割がジョブディスクリプションを導入しているものの、実際に機能しているのはそのうちの約半分強に留まることが明らかになりました。
この結果から、ジョブディスクリプションの導入だけでは不十分であり、それが組織内で効果的に運用され、従業員のキャリア形成に貢献しているかどうかが重要であると考えられます。
ジョブディスクリプション活用の阻害要因は、「部門によって職務定義の記述量や質にバラツキがあり、均質性を保てない」や「自社の活用用途に合わせた作成方法が分からない」が上位

ジョブディスクリプションに関して「導入しているが、実質的に機能していない」、「導入していたが、やめた」、「導入していない(検討したが、やめた)」と回答した方に、導入をやめた理由や、機能していない理由を質問したところ、「部門によって職務定義の記述量や質にバラツキがあり、均質性を保てない」が30.6%、「自社の活用用途に合わせた作成方法が分からない」が27.8%、「職務定義すべき職務ポジションが多すぎて、工数を避けない」22.2%という回答となりました。
これらから、ジョブディスクリプションは、全社で統一された品質基準に基づき、自社の具体的な活用目的に合わせて作成・運用するノウハウが不可欠であると言えます。また、そのための適切なリソース配分や効率的な作成手法の確立も、ジョブディスクリプションを機能させる上で重要な課題となっているでしょう。
そこで次に、「自社に合わせた運用」「効率的な作成手法」について、ジョブディスクリプション運用の手助けとなる何かしらのツールを使っているかどうかを調査しました。
8割超が、ジョブディスクリプション明確化ツールを「導入済」

「あなたの会社では、キャリア支援につながる1on1等や育成施策を補助するため、ジョブディスクリプションを明確にするツールを導入していますか。」と質問したところ、「全社で導入している」が53.5%、「一部の部署で導入している」が31.0%、つまり8割以上がすでに効率化のためのツールを導入しているようです。
ジョブディスクリプション明確化ツール導入により、76.7%が「1on1等の育成施策」の効果向上を実感

「ツールを導入したことで、キャリア支援につながる1on1等の育成施策の効果は、導入前と比べてどのように変化しましたか。」と質問したところ、「大きく高まった」が30.0%、「やや高まった」が46.7%と回答。ジョブディスクリプションを明確化するツールを導入している企業は、1on1などの育成効果が、導入前と比べ、高まったことがわかります。
この結果から、こういったツールはジョブディスクリプションの管理運用を効率化するだけに留まらず、キャリア支援という側面においても有効であることがわかりました。
まとめ
今回の調査結果から、1on1ミーティング等の継続性や一貫性の欠如が大きな課題となっていることが判明しました。特に、毎回異なるテーマで話が断片的になったり、過去の対話内容が共有されないことで、目的である部下のキャリア自律の促進に十分な効果を発揮できていない実態が明らかになりました。
この課題の根本には、部下が「会社でどんなキャリアを積めるのか」を具体的にイメージできていないことがあり、上司と部下がことが重要な要素となっています。そのうえで、今回、共通の基準の一つとしてジョブディスクリプションを取り上げ、整備状況について調査を行いました。実際に、ジョブディスクリプションなどを明確化するツールを活用している企業では、キャリア支援につながる1on1ミーティング等の効果が大幅に向上しており、社員が自社内で実現可能なキャリアパスを描けるようになることが、より質の高い対話を生み出す鍵となっています。
企業が持続的な成長を実現するためには、単に面談を設定するだけにとどまらず、1on1ミーティングで何を達成したいのか上司部下が互いに共通認識を持つことが重要で、そのために見える化するツール等を効果的に活用し、体系的かつ継続的なキャリア支援の仕組みを構築することが不可欠と言えるでしょう。
調査資料「1on1ミーティングによるキャリア自律支援とジョブディスクリプションの活用におけるキャリアの明確化に関する実態調査」のダウンロードはこちら

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