
ビジネスコーチング導入企業に関する実態調査
ビジネスコーチグループ B-Connect株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:杉本 博史)は、外部のビジネスコーチングを導入したことがある企業(従業員数1,000名以上)の、導入に関与した経営者および人事担当者111名を対象に、ビジネスコーチング導入企業に関する実態調査を実施しました。
【本調査のハイライト】
01|ビジネスコーチング導入時の課題、「リーダーに、周囲を巻き込む力や先導する力が不足している」が55.9%で最多
02|ビジネスコーチングの選定では、約半数が「コーチの継続的なトレーニングや評価制度を実施していること」を重視
03|導入したビジネスコーチングの満足度は84.7%、受けた人からの声として、「リーダー層として求められる視点の獲得や行動変容が促された」(57.4%)など
※調査資料のダウンロードは、本記事下部から可能です。
INDEX

調査概要
- 調査名称:ビジネスコーチング導入企業に関する実態調査
- 調査方法:インターネット調査
- 調査期間:2025年5月23日〜同年5月26日
- 有効回答:外部のビジネスコーチングを導入したことがある企業(従業員数1,000名以上)の、導入に関与した経営者および人事担当者111名
※1|ビジネスコーチングとは、企業や組織の成長・変革を促すために、外部または内部の専門家(コーチ)が、主に「マネジメント層」や「リーダー候補人材」などに対して1対1もしくはグループでセッションを行い、目標設定・振り返り・スキル開発などの支援を行う仕組みやサービスを指します。※2|合計を100%とするため、一部の数値について端数の処理を行っております。そのため、実際の計算値とは若干の差異が生じる場合がございます。
≪利用条件≫ 1 情報の出典元として「ビジネスコーチグループ B-Connect株式会社」の名前を明記してください。 2 ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。 URL:https://coachingtimes.jp/ |
ビジネスコーチング導入時の課題、「リーダーに、周囲を巻き込む力や先導する力が不足している」が55.9%で最多

「ビジネスコーチングを導入するにあたり、あなたが感じた課題や、リーダー(コーチングを受けさせたいと感じた対象者)に対して、どのような声や課題意識が挙がっていたかを教えてください。」と質問したところ、「リーダーに、周囲を巻き込む力や先導する力が不足している」が55.9%、「時代変化に合わせた新しい視点や柔軟な対応ができていない」が44.1%、「ハラスメントなど、言動に対する自己認識が足りていない」が43.2%という回答となりました。
リーダーシップの「型」が変化していることへの対応の遅れ
この結果は、従来の「指示命令型」や「経験則に基づくトップダウン型」のリーダーシップが、現代の不確実で変化の速いビジネス環境(VUCA時代)では通用しなくなっていることを示唆しています。
- 求心力の低下: メンバーの多様な価値観や働き方を尊重し、一人ひとりの能力を引き出しながらチームとして同じ目標に向かわせる「サーバント・リーダーシップ」や「共創型リーダーシップ」が求められています。しかし、多くのリーダーがこの新しいリーダーシップ像へ移行できておらず、結果として「周囲を巻き込めない」という課題につながっています。
- 硬直化した思考: 過去の成功体験に固執し、新しいやり方や若い世代の意見を取り入れる柔軟性が欠けているため、イノベーションが生まれにくく、組織の成長が停滞するリスクを抱えています。
リーダー自身の「内省」と「人間力」の不足
「ハラスメントなど、言動に対する自己認識が足りていない(43.2%)」 という回答は、以下のリーダー自身の人間的な成熟度やソフトスキルに関する深刻な課題を浮き彫りにしています。
- 信頼関係の毀損: リーダーが無自覚に行う言動は、チームの心理的安全性を著しく低下させます。これにより、メンバーは萎縮し、自由な発言や挑戦ができなくなり、エンゲージメントや生産性の低下、最悪の場合は離職につながります。
- リスク管理の欠如: ハラスメントに対する社会的な目が厳しくなる中、リーダーの自己認識の欠如は、組織にとってコンプライアンス上の重大なリスクとなります。
この結果から見えること
これらの結果を総合すると、多くの企業がリーダーに対して感じている課題は、単なるスキルや知識の不足ではなく、「リーダーシップのOSのアップデートが急務である」 ということに集約されます。
具体的には、
- 指示する人(Manager)から、引き出す人(Coach)へ
- 自分のやり方を押し通す人から、多様性を受容し、柔軟に変化できる人へ
- 無自覚に人を傷つける人から、自分を客観視し、他者への影響を理解できる人へ
といった変革が求められています。
ビジネスコーチングは、知識を教える研修とは異なり、対話を通じてリーダー自身の「気づき」を促し、内省を深め、行動変容をサポートする手法です。したがって、今回明らかになったような「内面的な課題」や「関係性構築の課題」を解決するために、非常に有効な手段であると期待されている、ということがこのアンケート結果から強く読み取れます。
導入したビジネスコーチングの満足度は84.7%

「導入したビジネスコーチングに対して、全体的な満足度を教えてください。」と質問したところ、「非常に満足している」が26.1%、「やや満足している」が58.6%という回答となりました。
「非常に満足している(26.1%)」と「やや満足している(58.6%)」を合わせると、合計で84.7%もの企業が導入したビジネスコーチングに対して肯定的な評価をしていることがわかります。これは、ビジネスコーチングが企業の人材開発施策として、非常に高い成功率と満足度を誇る有効な手段であることを明確に示しています。
この結果から、さらに以下のことが言えます。
1. 投資対効果(ROI)への強い納得感
8割を超える企業が満足しているという事実は、コーチング導入前に掲げていた課題(例:リーダーの巻き込み力不足、柔軟性の欠如など)に対して、目に見える、あるいは実感できるレベルでの改善効果があったことを示唆しています。コストをかけて導入しただけの価値があったと、多くの企業が判断しているのです。
2. 「非常に満足」と「やや満足」の差が示すもの
- 「非常に満足(26.1%)」: 約4社に1社は、期待を大きく上回る成果を実感しています。これは、コーチと対象者の相性が非常に良かった、設定した目標が的確だった、組織のサポート体制が万全だったなど、コーチングが理想的な形で機能し、リーダーの劇的な行動変容やチームの業績向上といった目覚ましい成果につながったケースと考えられます。
- 「やや満足(58.6%)」: 最も大きな割合を占めるこの層は、「期待通りの効果はあった」と感じているグループです。劇的な変化とまではいかなくとも、対象となったリーダーの言動にポジティブな変化が見られた、チームの雰囲気が改善したなど、着実な成果を評価しています。これは、ビジネスコーチングが一部の成功例だけでなく、安定して一定の効果を発揮する信頼性の高い手法であることを裏付けています。
この結果から見えること
つまり、ビジネスコーチングは、現代の企業が抱えるリーダーシップの課題に対して、非常に高い確率でポジティブな結果をもたらす有効な投資である、ということがこの一連の結果から導き出されます。
コーチングを受けた人からの声、「リーダー層として求められる視点の獲得や行動変容が促された」が57.4%で最多

満足度の調査に対して、「非常に満足している」「やや満足している」と回答した方に、「コーチングを受けた人からは、どのような声やフィードバックが上がってきたか教えてください。」と質問したところ、「リーダー層として求められる視点の獲得や行動変容が促された」が57.4%、「コーチからの質問を通して、重要な気づきを得られた」が46.8%、「コーチのビジネス経験や実務理解に基づく具体的な助言があった」が46.8%という回答となりました。
このアンケート結果は、満足度の高かったビジネスコーチングが「具体的にどのように機能し、なぜ価値があったのか」を解き明かす、非常に示唆に富んだ内容です。
1. 「視点の獲得と行動変容(57.4%)」:コーチングの最終目的の達成
これが最も高い割合であることは、コーチングが単なる「良い話を聞く場」で終わらず、導入目的であった「リーダーの変革」というゴールを達成していることを意味します。
- 視座の向上: 対象者であるリーダーが、一人の担当者としての視点から、より高い視座(経営的視点、全社的視点)で物事を考えられるようになったことを示します。これにより、意思決定の質が向上します。
- 具体的な行動の変化: 「周囲を巻き込む」「柔軟に対応する」といった、当初課題となっていた行動が、実際に改善されたというフィードバックです。これはコーチングの投資対効果(ROI)を最もわかりやすく示す成果と言えます。
2. 「質問を通した気づき(46.8%)」:コーチングの本質的なプロセス
この項目は、コーチングがどのようにして行動変容を促すか、その核心的なプロセスを説明しています。
- 内省の促進: コーチは答えを与える(ティーチング)のではなく、的確な質問を投げかけることで、リーダー自身に考えさせ、内省を促します。
- 「自分事」としての納得感: 人から与えられた答えではなく、自ら考え抜いてたどり着いた「気づき」は、非常に納得感が高く、その後の行動変容に対する強い動機付けとなります。この自発的な変化こそが、コーチングの大きな価値です。
3. 「ビジネス経験に基づく助言(46.8%)」:信頼と実践性の担保
「質問」と並んでこの項目が重視されているのは、ビジネスコーチングならではの特徴です。
- 机上の空論ではない実践性: 心理学的なアプローチだけでなく、コーチ自身が持つビジネスの現場経験や実務への深い理解があるからこそ、その助言には重みと説得力が生まれます。これが、後述の質問にある「多様な業界経験を持つコーチ」が重視される理由と直結しています。
- 信頼関係の構築: リーダーは「このコーチは自分のビジネスの苦労や状況をわかってくれる」と感じることで、より心を開き、本質的な対話が可能になります。質問による「気づき」と、経験に基づく「助言」のバランスが、コーチングの効果を最大化します。
この結果から見えること
これらの結果を総合すると、成功したビジネスコーチングは、以下の3つの要素が三位一体となって機能していることがわかります。
- How(プロセス): 巧みな「質問」によって、本質的な「気づき」を促し、
- Why(信頼性): コーチの「ビジネス経験」がその対話にリアリティと信頼性を与え、
- What(成果): その結果として、リーダーの「視点」が変わり、具体的な「行動変容」が実現する。
つまり、満足度が高い企業では、コーチングが「自己発見を促すプロセス」と「実践的な知見を得る機会」の両面で機能し、それが最終的に目に見える「リーダーとしての成長」に結実しているのです。
これは、企業がコーチングに投資する際に期待している価値そのものであり、このサイクルがうまく回っていることが、高い満足度の源泉であると言えるでしょう。
ビジネスコーチングの選定では、「コーチの継続的なトレーニングや評価制度の実施」や「多様な業界経験を持つコーチ陣」を重視

最後に高い効果をあげるためのコーチの選び方についてです。「ビジネスコーチングを選定する際に重視したポイントを教えてください。」という質問に対して、「コーチの継続的なトレーニングや評価制度を実施していること」が45.9%、「多様な業界経験を持つコーチ陣を揃えていること」が43.2%という回答となりました。
この結果は、企業がビジネスコーチングを単なる「個人セッション」としてではなく、「信頼できる組織的な人材開発投資」として捉えていることを明確に示しています。この結果から言えることを、2つの側面から解説します。
1. コーチングの「品質」と「信頼性」への強い要求
「コーチの継続的なトレーニングや評価制度を実施していること(45.9%)」が最も重視されている点は、コーチングという無形のサービスに対する品質担保を強く求めていることの表れです。
- 属人性のリスク回避: コーチングの効果は、コーチ個人のスキルや経験に大きく依存します。企業としては、「当たり外れ」のリスクを避け、一定水準以上の品質が保証されたサービスを求めています。その客観的な指標として、コーチング会社が組織として品質管理(トレーニングや評価制度)に責任を持っているかどうかが重要視されています。
- 専門性への信頼: 継続的なトレーニングは、コーチが最新の理論や手法を学び続けている証拠です。これにより、企業は自社のリーダーを安心して任せられるプロフェッショナルなパートナーを探していることがわかります。これは、コーチング市場の成熟に伴い、利用する側の目線が厳しくなっていることを示唆しています。
2. 現場への「理解度」と「実践性」の重視
「多様な業界経験を持つコーチ陣を揃えていること(43.2%)」が僅差で続いている点は、コーチングの成果を現場での実践的な行動変容につなげたいという強い意志を示しています。
- 深い共感と的確な問い: コーチが対象者の業界特有の課題、ビジネスモデル、専門用語、力学などを理解していると、よりスムーズに信頼関係を築くことができます。その上で、表層的ではない、的確で本質的な問いを投げかけることができるため、コーチングの効果が高まると期待されています。
- リアリティのある目標設定: 現場の実情を理解しているコーチであれば、対象者が描く目標や行動計画が、現実的で実行可能なものになるようサポートできます。「机上の空論」で終わらせず、実際のビジネスシーンで活かせる成果を求めていることの表れです。
この結果から見えること
この2つの結果を総合すると、ビジネスコーチングの選定において、企業は以下の2つの軸を両立させようとしていることがわかります。
- 組織としての信頼性(Systematic Quality): コーチング会社が、プロフェッショナルな組織として品質を保証する仕組みを持っているか。
- 個人としての専門性(Individual Expertise): 派遣されるコーチが、自社のビジネスコンテクストを深く理解できる経験を持っているか。
つまり、「信頼できる運営母体が、自社の状況を理解した質の高いコーチをアサインしてくれること」を最も重要な選定基準としていると言えます。
これは、企業がコーチングを一過性のイベントではなく、重要な経営資源である「人材」への戦略的投資と位置づけ、その効果を最大化するために、慎重かつ多角的にパートナーを選定している姿を浮き彫りにしています。
まとめ
今回の調査では、企業のリーダー育成において、一人ひとりの課題に応じて対応できるビジネスコーチングへの注目が高まっていることが明らかになりました。デジタル変革や働き方改革が進む中、管理職には新たなリーダーシップが求められており、とりわけ部下の主体性を引き出して変化に柔軟に対応できる人材の育成が急務となっています。企業の状況に合わせた柔軟なサポート体制を整え、企業成長や成果創出を見据えたコーチングサービスの導入により、持続的な組織成長と競争力強化を実現することが、今後ますます重要になるでしょう。
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